NSR整備記録

NSR250R MC21 SEのメンテナンス記録。

MC21 ヘッドライトケースH4化

NSRのヘッドライトLED化に伴い、ヘッドライトケースのH4化を実行することにした。

 

きっかけはLEDの導入だったが、前任者もH4バルブを改造してヘッドライトに入れていたこともあり、今後ヘッドライトを買い換えるとしてもH4で充分だろうと判断した。

なにより今回入れようとしたLEDのH4の口金がヒートシンク一体型の分厚いアルミ製でとてもじゃないが加工ができないものだったのが決め手となった。

ただ、せっかく加工するのだから、H4,H4R両対応のケースにすることにした。


ケース加工(加工手段)

まずは純正のケースをじっくり観察。

ケースは樹脂製で加工は難しくはなさそうだった。
試しにニッパーで無難なところを切ってみると、熱による経年劣化のせいか、硬質な石膏のような感じで簡単に削れることがわかった。
ただ無理にニッパーだけでゴリゴリ切り落としていくと本体までクラックを入れそうなもろさを感じたので、荒い金属製のヤスリと併用することでなんとか加工できるだろうと判断した。
切り欠きに失敗した部分や、不足する部分はプラリペアで補完することにする。
穴開け用にドリルも用意した。
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NSRのヘッドライトケースと、今回の作業で使う工具。H4Rの突起はでかい金属製ヤスリ、仕上げは小さいヤスリを併用。


H4とH4Rバルブの違い

H4とH4Rの比較

  • 上部突起(対光軸) H4約10度右に傾斜 H4R約6度右に傾斜
  • 下部突起(上部突起から180度を起点)H4左右45度 H4R左右62度
  • H4Rのみ左上部に突起がある(バルブ側には切り欠きがある)
    参考ページ
    M&Hハロゲン電球口金形状

さらに今回つけるLEDを調べたところ、口金はH4だが光軸の傾斜が存在しない。
これにより、光軸を合わせるためには、さらに口金の受けとなる部分が必要となった。
H4のままでも良いのかもしれないが、気持ち悪いので対策をしておくことにする。
対応範囲がさらに広がってしまったが、こうなったら徹底的にやる。

口金の形状と光軸各を一覧にすると下記のようになった。

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これを元に、H4、H4R、今回購入したH4LEDの光軸を0°補正する場合の全ての条件を備えたケース形状は以下の通りとなった。

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▲図は概略で位置、および角度は厳密には正確ではない。

切り欠きのいずれかの部分がバルブをセットしてから右または左に回転させることでヒットして各規格の正常位置を保つことができるので、この設計でOKとする。
金具は一度取り外して、回転して位置決めし直すことで全てのバルブに対応するように設計した。


ケース加工(実践)

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▲純正ヘッドライトケース。H4Rなので上部切り欠きが約6度左に傾斜している。バルブは逆方向に約6度光軸が傾斜している。

設計に従い不要な部分をニッパーで少しずつ削っていく。
多少失敗しても後からプラリペアで補修するので気にしないw
コツはよくばらずに少しずつ切り出し、最後の部分はできるだけヤスリで仕上げることだ。
経年劣化が幸いしてか、石膏より少し固い程度の感じでゴリゴリ削れるのでヤスリでの加工もはかどった。

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▲左:ニッパーで拍子抜けするほど簡単にポロポロと切れた 右:H4Rの突起は丸型の金ヤスリで削り落とした。
ヤスリは片面が平面、片面が丸みを帯びた形状の大型の金属ヤスリが一本あるとなにかと重宝する。
このページの二枚目の写真に載っているホームセンターで購入したヤスリを使用した。

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▲設計にそって削りだした。経年劣化のせいか加工は思いのほか簡単だった。LEDを仮組して確認の図



全体を削り終わったら、ライトケースの中に入り込んだカスを取り除く。
あとの祭りだったけど、レンズの入り口を何かで塞いでおくべきだったと思ったw

切り欠き、削り込みが終了したら、不足した部分をプラリペアで補填していく。
今回は欲張ってH4,H4R,光軸調整傾斜無LED用H4の全てに対応するために留め金の位置も変更するので、金具を止めるための土台部もプラリペアで作成する。

プラリペア注入時はトロトロの液状になるので、せき止める物がないとドンドン流れていってしまう。
なので、角などを使ってため込む感じで必要量を蓄積していく。
2分ほど経つと凝固が始まり粘土状になってくる。
ここからは我流というやつだが、この粘土状になったときに一気に整形する。
この方法を使った場合、各部との接着が少々弱くなるので、コーナー部分はしっかりパーツに密着させ面で当たる部分を少し隙間を空けて整形する。
その後しばし放置して、5分ほど経過するとほぼ固形化する。
固形化したら、先ほど開けておいた、面で当たる部分の隙間にプラリペアを再度挿入して固めていく。これにより面接着がしっかり行われる。....と思うw

プラリペアが完全に乾いたら、ドリルでねじ穴を掘る。

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▲新設する金具取り付け部をプラリペアで作成、左は穴あけ前、右はネジ穴を開けた後の状態。

ねじ山を整形するため、ネジを入れては抜き、入れては抜きと少しずつ進行させて、タップを切りながらネジを入れていく。
一気にいれるとプラリペアが割れることがあるので注意が必要だった。
実際何度か割ったw
プラリペアの説明書には、ネジより一回り大きな穴をあけて、ネジにCRCなどを吹きつけ、プラリペアを塗布してねじ穴に押し込み凝固させるのが正しいねじ山の作り方となっているので、律儀なひとはそうして欲しい。

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▲設計通りにケースの改造が完了。H4型のLEDもすっぽりと収まった。

意外と簡単にH4ソケットに対応することができた。
H4Rに無理矢理偽装されていたH4の爪を戻して実験したところしっかりと光軸が収束したので、問題ないだろうと思う。

加工は比較的簡単だけど、精度を出すのはすこし難しいのであまりオススメはできない。
幸い金具もしっかり止まり、振動でずれることも無いと思われるが、保安部品なので調整はしっかり実践する必要があることに注意してほしい。

重ねて書くがオススメはできない。調整がめんどくさすぎる上に、強度の確保が難しいんじゃないかと思う。失敗だったと思うと追記が増えることになると思うw

 

注意点

  • ケースの改造は光軸のズレを発生させやすいので注意する。
  • 同じ理由からケースの耐久性を保持できるように注意する。
  • レンズとケースは接着されているのでレンズ内にゴミを入れないように注意する。
  • バルブは高熱になるので特に発光部近辺は素手では触らない。
  • 最終的には定期的な光軸検査を行い、問題があればノーマルに戻す。
  • 公道上では明るければ良い訳ではなく対向車への配慮も重要。
  • 道路運送車両法道路運送車両の保安基準に則した調整を行う必要がある。
  • 光のくに基礎講座は、わかりやすいので一読の価値あり。

 


それでなくても、このブログやたら追記、修正が多いのにw


おまけ:プラリペア
今回の改造でも使ったプラリペア
なかなかおもしろい補修材なので、カウル補修した際の詳しい説明を後日アップします。

▲管理人が購入した業務用、どうせいろいろ使うのでコストパフォーマンスが良い業務用を購入した。
PK-200は粉100g、液100ml、ニードル2本、ニードル容器(大)、型取りくん2本、フタ付きカップ、スポイト(中)、ガラスクロス(10cmx40cm) のセット商品。クリアの仕上がりは言葉通り透明。他に黒や白もある。

 

 ▲クリアは透明パーツにも使えて目立たないので気に入っている。

 

  ▲強度を求めるなら黒が良いらしいという意見をWEB上で見かけた。真偽は不明。試してみたい。

 

プラリペア PK-16透明(粉6g・液10ml・型取くん・付属品)

プラリペア PK-16透明(粉6g・液10ml・型取くん・付属品)

 

 ▲一般向けオトクパックはコレ。型取くんがあれば、破損パーツの複製もできるよ。


プラリペアの最安値はヤフオクでした。Amazonに比べれば手間はかかるけど、かなり安かった。
公にはしてないけど、出品地その他を見ると、たぶんHONSHAだよねぇ.....。
ってことで、管理人はこの人から買いました。
ヤフオク!「プラリペア」継続格安出品者

 

 
業務用で買ってもなかなかお高いプラリペア
100円ショップで類似品もあるらしいので興味のある人はググってみても良いかも。
ただ品質はいろいろなサイトを見た結果、プラリペアの勝ちって結論っぽい。
耐久性も重要な補修に使うので、個人的には迷わずプラリペアでした。